年々加速する少子高齢化の影響をうけて、お墓のほうも墓石を必要としないタイプが注目を浴びるようになりました。
中でも近年、利用者数が増えているのが共同墓地です。共同墓地は費用が安いことで知られていますが、安さだけで選んでしまうと後々親族間でトラブルが起きてしまいます。
そこで、今回は共同墓地を選ぶメリットだけでなくデメリットや注意点などをお伝えしていきます。
近年における共同墓地の意味
昔ながらの共同墓地は、地域の共同体によって管理・運営されている墓地のことですが、実際は地域住民や墓地利用者が管理していることが多いようです。
近年の共同墓地の意味においては、個々が独立したお墓ではなく複数の人の遺骨がひとつの場所で納骨されている墓地を指します。
管理者は霊園や寺院であるため、一般的にお墓を承継する人がいなくなっても墓地の永代供養がついてきます。ただし、公営霊園の場合は永代供養はないことを知っておきましょう。
共同墓地と永代供養の意味は同じではない
共同墓地と永代供養は同じ意味に捉えられることが多いですが、実は違います。共同墓地には永代供養が含まれることがありますが、全ての共同墓地には当てはまらないのです。
永代供養は墓地を管理する寺院や霊園などが存続する限り遺骨の供養を行ってくれるため、墓じまいにと希望する人の需要が高まっています。
永代供養墓にする最大のメリットは、利用する墓地の土地や墓石が不要のため費用を格段に安くすることができるという点です。
ですが、いずれは合祀されほかの人の遺骨と一緒にされるため、個人が軽い気持ちで決めると後で親族間でトラブルとなってしまうでしょう。
共同墓地を選ぶ3つのメリット
共同墓地を選ぶと以下の3つの魅力的なメリットがあります。
お墓建立よりも断然費用を安くできる
お墓を建てるとなると、管理費なども含めて200万円~300万円ほどの高額出費となります。
ですが、共同墓地にすると定期的な管理費も必要ないことから、10万円ほどの費用で金銭負担が圧倒的に少なくて済みます。
宗派に関係なく入れる
寺院以外の共同墓地に限りますが、いかなる宗派であっても入ることができます。また、無宗教であっても安心して供養してもらうことができます。
死後、ひとりでお墓に埋葬されるのは寂しいという人には、ともに眠る人たちがいる共同墓地であればきっと心が安らぐでしょう。
掃除や管理を任せられる
一般的なお墓であれば、家族がお参りのたびに草むしりや墓石の掃除をしなければなりませんが、共同墓地では管理者が定期的に墓地全体の掃除や管理を行ってくれます。
また、常にお墓にお花が手向けられていますので、お供えのお花の心配は不要です。
無縁墓という荒れ地のような状態にならずに済むため、遠方で行けない、仕事などで忙しくてお墓参りに行く機会が作れないという人でも安心して任せることができます。
共同墓地のデメリット
共同墓地では最初は個別で納骨される場合もありますが、三十三回忌や五十回忌の法要の時期が来るとほかの人の遺骨と合祀されます。
合祀されると個別に遺骨を取り出すことができないデメリットがあることを知っておきましょう。
また、共同墓地は家族以外の人と同じお墓に入るため、故人が家族とお墓を希望していたなら、共同墓地以外の方法を選ぶことはやめておくほうがよいです。
共同墓地の供養においては、お彼岸やお盆のときに管理者が合同供養を行ってくれますが、個別の法要については別途依頼が必要で費用のほうも発生します。
共同墓地を選ぶときに気をつけたい費用の内訳
お墓を建てるより1/20ほどの費用に抑えられる共同墓地ですが、細かい費用も発生するため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
共同墓地では管理料が必要がないケースがほとんどですが、会員費を求められることもあるため、会員になる理由を聞いて納得した上で支払うことが大切です。
また、利用料や管理料のほかにお布施を求められることもありますが、高額だと感じられる場合はその共同墓地は選ばないほうが無難かもしれません。
まとめ
共同墓地は費用を安くできる、承継者がいない場合でも心配不要というメリットがありますが、いずれはほかの人と同じお墓に入ることになるため、慎重に決めたいものです。
また、共同墓地においては故人の墓石がないため、お墓参りに訪れる人は故人との縁を感じられにくく心の拠りどころがないように思えるようです。
死後もずっと残っていく大切なお墓のことですから、失敗しないように家族や親族と十分話し合って結論を出しましょう。