「墓じまい」や「永代供養」という言葉を聞いたことがあると思いますが、どのような違いがあるか知っていますか?
結論から言えば、目的が大きく違います。今回は、具体的な違いや目的について解説します。
墓じまいの目的について
墓じまいは、墓の中を確認して、遺骨を取り出し、墓を撤去することです。また、撤去して更地にして、管理者に土地を返還することになります。
簡単にいえば、現在ある墓を片付けるのが目的です。
継承者がいない場合や、管理等の負担が大きいなどの理由によって行うケースが多くなっています。撤去することで、維持管理の負担を大幅に軽減できるのが、大きな魅力です。
ただし、墓じまいには撤去費用などで約30万円~300万円の費用がかかります。
墓じまいを行う場合には、1つの業者で決めるのではなく、適切な金額であるかを確認するためにも、複数の業者から見積もりをもらうようにするとよいでしょう。
複数の業者から見積もりをもらうことで、価格やその内容について比較することができるからです。
永代供養の目的について
永代供養は、墓じまいとは目的が大きく異なります。寺院や霊園などに、永代に渡り、遺骨の管理や供養をしてもらうことを目的としているのです。
永代とは、長い年月という意味で使われていますが、寺院や霊園によって、期限を設けていることが多くなっています。
- 17回忌
- 33回忌
- 50回忌
期限を過ぎた場合には、他の遺骨と一緒に合祀されることになるので、事前に期限について確認しておくとよいでしょう。
永代供養は、承継者がいなくても利用できるというのが、大きな魅力となっています。
墓じまいをしないと無縁墓になる可能性がある
墓じまいをする場合には、撤去費用がかかるため、承継者がいない場合でも放置してしまう人もいるようです。ですが、そのまま放置してしまうと、無縁墓となってしまう可能性があります。
総務省行政評価局が行った調査によると、公営墓地や納骨堂を運営する市町村の58.2%は、無縁墓を抱えているという結果がでました。
(出典:総務省行政評価局 墓地行政に関する調査)
現在では、法令などによる具体的な規定がないため、あまり対応は進んでいませんが、法整備が進めば、無縁墓については、遺骨が合葬墓などに移されるなどが進められることになるでしょう。
もしも、墓を引き継いでくれる人がいないという場合には、早めに墓じまいの検討をするのがおすすめです。
墓じまいを検討する理由について
墓じまいを検討する人が増えていると言われています。理由は、人によって異なりますが、主な理由は次のようなものです。
- 墓の管理をするのが大変になった
- 子どもに迷惑をかけたくない
- 高齢になり墓に行くのが大変になった
- 費用面での負担が大きくなった
- 無縁墓になってしまうことを避けたい
これまでは、先祖代々の墓を子孫が引き継ぐという形が一般的でしたが、さまざまな理由によって、維持管理が難しくなっています。
また、墓に関する考え方も多様化しており、墓じまいを選択する人が増えているのです。
墓じまいを考えている場合には、専門の業者に相談することから始めてみるとよいでしょう。専門業者であれば、必要な行政手続きなどに関するアドバイスも受けることができます。
まとめ
「墓じまい」と「永代供養」は、よく耳にする言葉ですが、目的が大きく違うのが特徴です。墓じまいは、現在ある墓を撤去して、更地にして土地を持ち主に返すという目的があります。
一方の永代供養は、遺骨の管理や供養を寺院、霊園に任せるという目的です。墓じまいをしないと無縁墓となってしまうおそれもあるので、承継者がいない場合には、検討してみましょう。