墓じまいを検討する方の多くは、「何から始めればいいの?」「順番を間違えるとどうなるの?」という不安を抱えています。本記事では、墓じまいの全体像を8ステップで図解し、必要書類の取得方法から閉眼供養、石材店の選定、当日の段取りまでを具体的に解説します。
手続きの流れを正しく理解すれば、トラブルを防ぎ、スムーズな進行が可能です。改葬許可の記入例や当日用チェックリストなど、多数掲載しています。初めての墓じまいを安心して進められるよう、この記事を活用してください。
目次
まず全体像:墓じまいはこの8ステップで進める
墓じまいの基本的な流れは、以下の8ステップで構成されています。
ステップ | 内容 | 補足 |
---|---|---|
① | 親族間の合意形成 | 特に長男以外の兄弟との調整が重要 |
② | 墓地管理者への意思表示 | 使用者名義人の確認も忘れずに |
③ | 新しい納骨先の決定 | 受入証明書を取得 |
④ | 石材店の選定と見積もり取得 | 指定業者の有無も確認 |
⑤ | 改葬許可申請(書類3点) | 自治体へ提出し、許可証を取得 |
⑥ | 閉眼供養の実施 | 僧侶に読経を依頼し、お布施を準備 |
⑦ | 墓石の撤去と現状回復 | 写真納品を依頼しておくと安心 |
⑧ | 新納骨先への納骨 | 改葬許可証と共に遺骨を移送 |
このフローを理解すれば、「手順ミスでやり直し」といったトラブルを未然に防げます。
必要書類の揃え方と提出順(記入例つき)
墓じまいには、改葬許可を得るための3つの書類が必要です。
受入証明書(新納骨先)
新しく遺骨を納める先(納骨堂や永代供養墓)から発行されます。
- 取得先:霊園・寺院・納骨堂
- 費用:無料〜2,000円程度
- 提出先:現住所の市区町村役所
- 備考:必ず正式名称で発行してもらいましょう
埋葬(埋蔵)証明書(現墓地管理者)
現在の墓地管理者(寺院や霊園)に依頼します。
- 取得者:使用者または承継者
- 発行に必要なもの:印鑑/本人確認書類
- 費用目安:無料〜1,000円
改葬許可申請書(自治体)
市区町村の役所から取り寄せ、記入のうえ提出します。
- 入手方法:自治体の窓口またはWebサイト
- 提出方法:窓口/郵送(自治体により異なる)
- 手数料:無料〜500円程度
提出順のチェックリスト(誤順防止)
- 受入証明書の取得(新納骨先)
- 埋葬証明書の取得(現墓地管理者)
- 改葬許可申請書の提出(市区町村役所)
この順序を守らないと、改葬許可が下りず次の手続きに進めません。
寺院・親族への伝え方テンプレとトラブル回避
親族との合意形成のポイント
- 墓じまいの理由(管理困難・承継者不在など)を明確に伝える
- 金銭的分担や今後の供養の形を事前にすり合わせる
離檀料の考え方
- 相場:3万円〜20万円(寺格・地域差あり)
- 伝え方:突然の離檀申し出ではなく、感謝の意を添えて丁寧に
- 専門家相談:もめた場合は行政書士や弁護士に相談を
伝達手順テンプレート
- 電話で事前連絡
- 文書で正式通知(文例あり)
- 面談で直接説明と謝意
石材店の選び方と見積の見方
指定石材店の有無を確認
- 寺院や霊園によっては特定業者のみ対応可
- 規約を確認し、指定がなければ複数見積もりを取得しましょう
見積の必須項目
項目 | 内容 |
---|---|
基礎撤去範囲 | 墓石下のコンクリートも含まれるか |
残土処分 | 撤去後の土砂の処理方法 |
搬出経路 | クレーン/手作業など対応手段 |
重機使用料 | 必要な場合の追加費用 |
養生費用 | 隣接墓地や通路保護のための措置 |
産業廃棄物処理 | 法令に基づいた処理証明の有無 |
写真納品 | ビフォー・アフターの記録 |
契約前の最終確認
- 工期/施工日の確定
- 写真納品の可否
- 原状回復の範囲確認(植木や敷石も含むか)
当日の流れとマナー(服装・お布施・立会い)
閉眼供養の実施
- 僧侶を招いて読経を行う
- お布施目安:2万〜5万円程度
- 御車代・御膳料:各5,000円程度が目安
立会いと写真撮影
- 当日は1名以上が立会い
- 写真撮影は石材店へ事前依頼が安心
- 必要な場合は作業前後の写真をもらいましょう
持ち物チェックリスト
持ち物 | 用途 |
---|---|
数珠 | 閉眼供養時 |
供物 | 果物や菓子など |
清掃道具 | 墓地の清掃 |
タオル | 汚れや汗拭き |
飲み物 | 夏場は熱中症対策を |
費用と期間の目安/よくある失敗
費用項目 | 目安 |
---|---|
墓石撤去・原状回復 | 10〜30万円 |
改葬許可手続き | 〜1,000円 |
納骨先の費用(永代供養など) | 5万〜50万円 |
失敗例
- 改葬許可前に墓石撤去を開始してしまい、違法状態に
- 書類に不備があり、再発行に数週間
- 改葬先が決まっておらず、手続きが途中でストップ
よくある質問(FAQ)
Q1:改葬許可は遺骨ごとに必要?
はい、1体につき1通が原則です。
Q2:散骨でも改葬許可は必要?
自治体によります。必ず事前に確認を。
Q3:閉眼供養は必須?
宗派により異なりますが、多くのケースで実施されます。
Q4:寺院への連絡はいつ?
埋葬証明書をもらう前に、丁寧に相談を。
Q5:服装やお布施の包み方は?
平服でOKですが、黒や紺が無難。お布施は白封筒に水引なし。
まとめ
墓じまいは、親族の合意から始まり、改葬許可の取得、閉眼供養、墓石撤去、そして新しい納骨先への移送まで、多くの工程を経て完了します。正しい手順を踏まないと、作業のやり直しや費用の追加といったトラブルの原因になります。
本記事で紹介した8ステップを順番に進め、チェックリストや記入例を活用すれば、初めての方でも安心して墓じまいを進めることができます。まずは、親族との合意形成と新納骨先の候補選定から始めてみてください。