お墓の意味や役割について考えたことはありますでしょうか?お墓は人がお亡くなりになった後に入る家のようなものでもありますが、それ以上に宗教的な意味があるものでもあります。
今回はお墓をお持ちの方やこれからお考えの方が知っておきたいお墓の意味や役割についてお伝えします。
お墓とは
お墓とは、亡くなった方の遺体や遺骨を埋葬する場所です。
その意味は時代とともに変化しており、昔は権力を示すために規模が大きく遺体とともに豪華な副葬品をおさめる場所であったり、穢(けが)れた死を生きている人間から遠ざける場所でもありました。
それがやがて家制度が定着してくると先祖代々の魂を供養する場所として存在するようになり、そこから、先祖がこの世に返ってくるお盆などにお墓参りをする風習ができました。
現代ではお墓を守る方が減っている
しかし、戦後は民法で『家制度』が廃止されたことで、家族のあり方が変化しています。法律では家制度がなくなっても実質的に家制度のようなものは残っていますが、徐々に家ではなく個人を主体とする考え方が主流になってきました。
それにともない「家を継ぐ」という考え方や、ご先祖様が入っているお墓を守って供養するという考え方が薄れてしまっていることも事実です。
その流れに拍車をかけているのが、少子高齢化です。晩婚化で子どもができなかったり、結婚をせずに一生を終える人が多くなっていることで跡継ぎがいない家が増えてきています。
そのため、亡くなった後には子孫ではなくお寺にお世話をしてもらう『永代供養墓』を選択する人は年々増えているようです。
そのような場合、これまで守っていた先祖代々の墓は、更地にしてお骨を取り出し一緒に永代供養をしてもらうか、納骨堂に納めるという方法をとることが多いです。
しかし、お墓を継いでお世話をする人がいなくなってしまったお墓のご先祖様たちは、無縁仏となってしまうため遺骨を取り出して無縁仏を供養する塔にまとめられます。そうなってしまうと、あとから取り出すことはできません。
お墓への埋葬方法
日本では遺体を荼毘に付し骨壷に入れて納めますが、海外では棺に入れてそのまま埋葬することが主流です。その理由はひとつに宗教の違いです。
キリスト教では、この世の終わりである最後の審判の日に、死者の魂は肉体に戻り復活するということが信じられています。そのときまで肉体を残すために火葬はできません。
明治時代までは日本でも土葬が行われてきましたが、国が発展するにつれてより多くの土地が必要になりました。そのときに一人ひとりの遺体をそのまま埋葬する土葬よりも、火葬にして遺骨を小さい容器に入れて埋葬するほうが場所を取らなくて良いということで火葬を行うことを国が推し進めたのです。
現代の日本では土葬はできない?
現代の日本でお墓をつくるとき、土葬はできないのかというと法律で明確に禁止されていません。ただ、自治体の条例として禁止しているところがありますし、お寺や霊園で土葬を受け入れてもらえないので、火葬を選ぶしかない状況です。
まとめ
お墓がもつ意味や役割は宗教によって異なりますが、時代によっても変化しています。少子高齢化によりお墓を守る跡取りが減ってしまっている現在では永代供養という選択肢もありますが、できれば先祖代々お墓を大切に守っていくことが望ましいですね。