墓石に文字を刻むときには、選べる色の種類やそれぞれの色の意味、剥げた場合の補修方法などを一通り知っておいたほうがスムーズに作業が進みます。
日本の墓石の文字色は、仏教の精神と深く関わっていることがあります。この記事では、墓石に刻む色の種類と色別の意味について解説をします。補修の仕方についても紹介します。
墓石に入れる文字色の種類と意味は?
日本のお墓の文字には、白色や黒色などが多く取り入れられています。仏教の宗派が多い日本の場合、五色と呼ばれる色から選んで墓石の文字を刻むケースも少なくありません。
仏教では、お釈迦様の体や教えなどを5つの色で表す風習があります。五色の種類や各色の意味を、ここではまとめてみました。
白色
白色は、お釈迦様の歯の色と仏教では考えられています。清浄を表す白色には、穢れのない心で煩悩や悪業を清める意味があります。
黒色
お釈迦様の袈裟の色を表しているのが黒色です。仏教の黒色は、侮辱や誘惑、怒りなどに耐える忍辱の象徴です。
赤色
五色の赤色は、お釈迦様の血液の色を表しています。この色は絶え間ない慈悲の心で人々を救う精進の象徴として考えられています。赤色は、存命している人のお墓に文字を入れるときにも使われる色です。
青色
お釈迦様の頭髪の色を表している青色は、禅定や定根を象徴する色です。仏教で禅定や定根は、心を乱さずに穏やかに悟りを得ることを表す言葉です。
黄色(金色)
黄色(金色)は、お釈迦様の体の色です。金剛を象徴するこの色は、不動でゆるぎない姿や信心を表しています。
墓石の文字色には地域差がある?
墓石に刻む文字の色は、地域によっても多少傾向が変わります。墓石の文字色に地域性が見られるのが、関東地方、関西地方、九州地方です。
例えば、黒色で文字を入れるスタイルが人気なのが東京都をはじめとする関東地方です。全体が黒色で統一された墓石は、関東地方で多く見られるタイプに挙げられます。この地方のお墓の場合、漆黒の黒御影石に同じ黒色で文字を入れるときにはあえて彩色をほどこさないケースもあります。
大阪府や京都府などの関西地方では、白色で文字を入れるスタイルが人気です。グレーがかった白御影石の墓石に白色で文字を入れたデザインは、関西地方で人気を得ています。
金色で文字を入れた墓石が多く見られるのが、長崎県や熊本県などの九州地方です。
九州地方では、落ち着いた色調の金色で家名の文字や家紋をデザインするケースが少なくありません。このような地域の習慣の背景には、中国から伝わった文化の影響があると考えられています。
墓石の文字色が剥げたときや汚れたときの補修方法
墓石の文字色が剥げたときには、ペンキの塗り直しで補修ができます。黒色や白色などで文字が彩色されている場合、ペンキで色が仕上げられているケースが多いです。
このような文字色を補修する場合は、残っているペンキを落としてから新たな色を塗り直すことが必要です。ペンキの塗り直しは石材店でもおこなってくれます。
自分でDIYをする場合は、墓石の汚れなどを一通り落としてから作業を開始しましょう。ペンキを塗る前には、文字の周囲を養生テープなどでカバーしておくのがポイントです。
古いペンキは、市販の剥離剤を使うとスムーズに落とせることが多いです。古い歯ブラシなどに薬剤をつけ、墓石にキズをつけないように作業をおこなっていきましょう。文字の部分にシーラーを塗っておくと、ペンキが密着しやすくなります。
文字が汚れてしまった場合は、石材店でクリーニングをしてもらう、またはペンキを塗り直す方法でキレイな状態にリニューアルができます。
まとめ:色の種類や意味、補修方法を理解しておけば安心
墓石の文字色には五色と呼ばれる5つの種類があり、それぞれの色が仏教の精神につながる意味を持っています。この記事で解説した意味を一通り理解していると、お墓を建てるときにどの色で文字を入れるかが決めやすくなるかもしれません。
補修方法がわかっていれば、後に文字の色が剥げたり汚れたりしてもすぐに対処ができるでしょう。