お墓を構成する部位には、それぞれ名称があり、意味や役割があります。お墓とは、主に墓石・遺骨を納める納骨所・墓所を囲む外柵から成り立つ構造物です。
また、この他にお供えをするための花立や香炉などの付属品や装飾品などがあります。この記事では、お墓の構造に関わる部位の名称や意味、役割についてご紹介します。
お墓の基本的な構造とそれぞれの名称
棹石(さおいし)
墓石の一番上に位置する石で、竿石(さおいし)・仏石(ほとけいし)とも呼ばれます。「天・人・地」の「天」を表し、家庭円満の象徴です。
一般的に表面は「○○家之墓」と文字を彫りますが、宗派によっては「お題目」「先祖代々之墓」などの文字を彫ります。
上台(じょうだい・うわだい)
棹石の下にあり、家名・家紋・建立者名などを彫ります。「天・人・地」の「人」を表し、人望の象徴です。
中台(ちゅうだい・なかだい)
上台の下に位置し、水鉢や花立と一体化した物もあります。「天・人・地」の「地」を表し、財産維持の象徴です。
納骨堂の上に位置することが多く、芝台を省略した場合、この部分を下台(げだい)と呼ぶこともあります。
芝台(しばだい)
墓石の土台となる一番下の部分で、下台(げだい)とも呼びます。また納骨堂のスペースを広げ、香炉・水鉢などの置き台にも使われることが多いです。
納骨堂(のうこつどう)
遺骨を納める場所で、カロートとも呼びます。一般的にカロートは地下につくられ、普段は拝石で蓋がされているため見えません。
地上に設けた物は丘カロート(おかカロート)と呼ばれ、お墓の奥行きがとれない所や、地下水が出るような所におすすめです。
外柵(がいさく)
お墓全体を囲う石材の総称で、納骨堂も場合によってはこれに属します。土台部分の補強や隣接墓地との境界線を担っている重要な部分です。
お墓の装飾品の意味と名称
香炉(こうろ)
香炉はお線香をあげる場所です。一昔前は、仏壇のようにお線香を立てる香立て(こうたて)が一般的でした。しかし、雨風でお線香が消えてしまうことが多いため、最近では屋根・壁付きの香炉が一般的です。
水鉢と一体化した物もありますが、一度にたくさんのお線香をあげると、水と火によってかなりの温度差が生じ、ひび割れの原因になるので注意しましょう。
花立(はなたて)
墓石正面の左右にある花を供える場所です。花を挿す花筒(はなづつ)は、花立に埋め込まれた台座に筒をネジ式で取り付ける着脱式と、花立に開けられた穴の中に筒を入れる中入れ式があります。
塔婆立(とうばたて)
卒塔婆を立てかけておく場所で、材質は石製やステンレス製のものが一般的です。外柵に組み込まれたものや個別に設置するものなど、さまざまな種類があります。
燈篭(とうろう)
燈篭は仏塔の一種で、先祖に灯明供養をささげる装飾です。現在は本来の意味が薄れ、装飾品としての意味合いが強くなりました。
燈籠はお墓の入り口や墓石の横に左右一対、あるいは一基のみ設置されます。
墓誌(ぼし)
墓石の横に設置してある石板のことで、戒名、俗名、没年、享年、生前の略歴などを彫ります。墓誌がないお墓は墓石の裏面や側面に文字が彫られていることが一般的です。
まとめ
お墓の構造に関わる部位の名称や意味、役割についてご紹介しました。部位によっては漢字やカタカナなど複数の呼び方があります。
また、昔は役割があったものでも、時代が経るにつれて装飾の意味が強まった部位もあります。どの部位のことを指しているのか、意味や役割を調べるとお墓に関する知識が深まりますね。